最後の国

--ノルウェー、トロムソ

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 車でアビスコを訪れていたルーカとヴァレンチノの厚意によって、ノルウェーのトロムソまで一緒に乗っけて行ってもらえることになった。
 オーロラを見に行くという目的で出たこの旅行、もう目的は果たしたけど後一つだけ行っておきたいところがある。それはトモチカ夫妻に教えてもらった、ヨーロッパ(ほぼ)最北端の岬ノールカップだ。北の端まで行って旅行を終えるというのはなんだかキリがよくていいな、と思っていたのだった。それにこんなに近くまで来たならノルウェーもすこし覗いてみたい。
 ルーカが突然車を停める。
 「Photo!」
 見るとそこはノルウェー国境だった。
 アジアのものものしい国境に比べるとあまりにも「らしくない」国境に、ヨーロッパではいつも拍子抜けしてきた。通貨はユーロでなくとも北欧もやはり同様で、正直、国境というよりは県境程度にしか見えない。ともあれここからはノルウェーだ。
 北極圏最大の都市であるトロムソは夏には白夜を体験できるらしいが、もうシーズンは終わっている。それでも夜11時くらいまで若干西の空に明るさが残るあたり、緯度の高さを感じさせる。
 トロムソのユースはあろうことかシーズンオフで閉まっており、仕方ないので近くのキャンプ場へ向かう。久しぶりにあのテントの出番だ。
 「おいこのテントで寝るのか?」ルーカが言う。
 「うん。いちおう雨は防げるよ」
 「クレイジー…」
 まあ僕だってコレで寝たい訳じゃない。

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