北極圏の門

--スウェーデン、アビスコ

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 パンフレットによると“非常に高い晴天率”を誇るというアビスコへ到着すると、南の方角に、なにか巨大なものが抉り取ったような奇妙な形をした山が見えた。ラポーテンという名のそれは、「ラップランドの門」とも呼ばれている。
 アビスコは想像以上に小さな町で、何もすることがなさそうだ。しばらくここに腰を落ち着ける予定の僕は、むしろ嬉しかった。もう旅行も終盤にさしかかった今、ヨーロッパを駆け抜けてきた疲れも拭い去りたくもあった。
 木々は色づいた葉を散らし、名も知らない植物の綿帽子がそこらじゅうに舞っている。北極圏に入ってはじめての日差しにも出会えた。アビスコのどこからでも見える大きな湖が国道を挟んで北側に、ほんの僅かに雪を被った山々を映している。まだ出番の来ない犬たちの鳴き声が、森の奥にある犬小屋の方から聞こえてくる。
 キルナで予約したAbisko Fjallturerというユースにチェックインし、これから一週間ほどオーロラを追いかける。早速今日にも見れるんじゃないか、と期待していると、あっという間に雲が空一面を覆ってしまった…かと思うと一時間後には雲ひとつなくなっている。ものすごい移り変わりの速さだ。
 残念ながらこの日はその後空を覆った雲が晴れることはなかった。
 カメラの掃除をして眠りにつく。

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