緊迫の客引き戦争

--カンボジア、シェムリアプ

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 遺跡群を見て回っていると、かならず声をかけられる。
 「オニイサン、Tシャツカウ、イチマイ3ドル」。
 Tシャツはいらないよ、というとスカーフになったりバッグになったりテーブルクロスになったりアクセサリーになったり地図、飲み物、マンゴー、とにかくなんでも。
 都度都度断りながらも、たまに「これはちょっと欲しいかも?」と思うものもあり、「いくら?」と聞いて値段交渉が始まる…のは普通のお店。ここでは両サイドの店とも同時に戦う必要があるのだ。
 例えばちょっとしたアクセサリーを買おうかな、と思って一人と交渉を始めると、隣の店から「地図!地図!」。逆隣からは「Tシャツ!Tシャツ!」。
 「いや、地図もシャツもいらないから。俺が欲しいのはアクセサリーなの」と言っても「ナンデカワナイ!スカーフヤスイ!」「地図!2枚で3ドル!」「いや、安い高いじゃなくて、要らないの」「ジャアTシャツ!2枚で5ドル!」とまあ会話にならない。交渉も進まない。
 しまいには「あーもうやかましい!もう全部買わない!さよなら!」と短気な僕が放棄してしまうと、遠くから「ウソツキ!カエレ!」という言葉を投げかけられるという切ない結果になる。
 基本的に英語は通じているようなので要求も通るはずなんだけど、もしかすると、多分、あまり聞いちゃいない。
 ある店で好みのデザインのTシャツを見つけたので、「これいいね、この色違いある?」と聞くと、隣の店のお姉ちゃんから「ある!」と言う声が。そして嬉々として全然違うデザインの奴を持ってきたりする。いやいや、それじゃねえよ。ここまでくると恐れ入るというか笑ってしまう。そしてお姉ちゃん同士で言い争いが始まって僕は放置。全く、この商売根性。遺跡よりも印象に残ってしまったかもしれない。
 商売上手な子は、小さな子でも本当に上手い。引き際をしっかり心得ている。それだけでなく、商品のひとつ、例えば小さなアクセサリーを「プレゼント」とくれたり、自分で描いた絵や、四つ葉のクローバーをくれたりする(カンボジアのクローバーは全部四つ葉だったけど)。そうなると弱いもので、つい「買ってあげようかな」と言う気分になってしまうのだった。
 そしてまんまと買ってしまった訳だけど、まあ、そんなに悪い気もしないな…と四つ葉のクローバーを眺めながら思った。

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