アントワープにて

--ベルギー、アントワープ

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 アントワープは近年ファッションの先端を走っていて、王立芸術学院という学校から優れたデザイナーが数多く輩出されており、中でも「アントワープ・シックス」と呼ばれる別格なデザイナーたちが存在する。…なんだか戦隊ものヒーローみたいな響きだ。悪の組織と戦ってるのかな。
 聖母大聖堂へ、ルーベンスの「キリスト昇架/降架」を見に。「パトラッシュ僕もう疲れたよ…」はここか。しかしさすがに横になれるような雰囲気じゃないな。
 フランダースの犬ははっきり言って日本人だけに有名だということだが、それを裏付けるようにここ聖母大聖堂にもしっかり日本語の解説冊子が置いてあった。日本のアニメで取り上げられるまであまり知られていなかったらしいけど、今ではトラムで30分ほどの町ホーボーケンにネロとパトラッシュの銅像が建っている…さて見に行ってみると誰も注意を払っていないような所に小さな像がぽつんと立っているだけ。まあ、こんなものなんだろうか?
 まあそれはそれとして、アントワープの街は骨董品の店やいい感じのカフェがちょっと歩くだけでもいくつも見つかるし、それ以前に街の持つ空気がなんだか良い感じにゆるい。気づくと予定より泊数を増やしてしまっていた。

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黒づくめの人々

--ベルギー、アントワープ

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 ブリュッセルの次は、オランダのデンハーグに移動しようと思っていた。地図上ではとても小さいベルギーを抜けてすぐ近くだ。しかし地図を眺めながらその手前の地名が目に入る。アントワープ。なにか聞き覚えがある響きの地名だ…
 調べてみるとアントワープは、かの「フランダースの犬」の舞台であるらしい。だから聞いたことがある気がしたのか。ということはあの最終回の、ルーベンスの絵がある教会があるということか。それはちょっと見てみたい!
 ブリュッセルからアントワープまで、列車に乗って約40分ほどで到着。
 少し日本語を話せるツーリストインフォのおじさんに「ブーメラン」という宿を紹介してもらい歩き出すと、道行く人々がなんだか見慣れない服装だ。ぞろ長い黒外套に黒スーツ、黒い靴。帽子もやはり黒いシルクハット。長く伸ばしたモミアゲをカールしている。アントワープの人は変わった格好をするんだなー…いや、この風貌はたしかユダヤ教徒のものじゃないか。とすると、どうやらここはユダヤ人街のようだ。
 イスラエルには行っていないのでユダヤ教徒を目にするのは初めてだ。黒ずくめの服が好きな僕はそのセンスは嫌いじゃなかったけど、あのモミアゲだけは理解不能だ。

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マグリット博物館

--ベルギー、ブリュッセル

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 マグリット博物館は、ルネ・マグリットが暮らしていた家──普通の住宅街の普通の家で、看板が出ていなければきっと分からない。(実は休館日である前日にも来て、この通りを2往復して結局見つけられなかった。)
 マグリットの絵は、その多くを身近なものをモデルにして描いていたらしく、表の町並みや街灯、暖炉や窓枠、階段、果ては庭にある鳥かごまでが、作品の中のものと同じであるのはとても面白い。
 おみやげに買った、青空が帽子とマントをかぶっているような絵(分かりづらいな)のポストカードを眺めながらワッフルを食べる。
 ベルギーもやはりずいぶんと寒い。

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1万キロのすれ違い

--ベルギー、ブリュッセル

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 ベルギーは…首都ブリュッセルは、EUの本部があるところだ。と、その程度しか知らなかったりする。
 いや、もうひとつだけ。マグリットの生まれた国だ。美術のことは正直よく知らない僕にも好きな画家が数人いる。M.C.エッシャーとルネ・マグリットだ。どちらもなんだか「人を食ったような絵を描いている」というイメージだ。そのマグリットの絵がここベルギーの王立美術館にあるらしい。それは見に行かなければと大雨の中、王立美術館へ。
 …と、アレ、無い。
 マグリットの絵なんか全然無い!なんで!?いや待て、待てよ。あった。2点だけあった。しかしたった2点だけなんて!おや、もう一点あるぞ。これは知っている、有名な「光の帝国」という絵だ。しかし正確には「あった。」そこには小さなプレートと以下の説明が。「日本での展示のために現在貸出中です」
 え─────!
 ここまで来たのに、絵は日本かよ。
 そもそもこれを含めても3点しかないというのが解せない。本当なら50点以上はある筈なのに!全部日本に行ってしまっているのか?それとも来年地下1階にオープンするという「マグリット館」の準備かなんかでどこかに移動されているのだろうか?
 どちらにしても、この強烈な肩透かしに一気に力が抜けてしまった。ブリュッセルにも嫌われるのか…
 いや、と思い直す。たしか郊外に、本人の家をそのまま利用した「マグリット博物館」があるはずだ。そっちに行ってみよう。
 写真は世界三大がっかりとして有名な小便小僧。うん、小さかった。

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ルーブルに斃れる

--パリ、フランス

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 ヨーロッパにやって来るまで、美術館や博物館、遺跡ですら、隅々まで歩き回らないと気がすまなかった。一点すら見逃すのが惜しいという小市民的思考の産物なのだが、ヨーロッパに入るとそうはいかなくなってきた。なぜなら広すぎるのだ。美術館が。
 そして、ここパリにあるルーブル美術館は世界最大級の規模を誇っている。目玉はモナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ像など。
 おいしいものはなんとなく後回しな僕はだだっ広いルーブルの中をエジプトのミイラだとか、ハムラビ法典、変なポーズの像を求めてうろつき回り、それでもなんとかエリアを全て見て回ろうかとローラー作戦を開始したのだけど、
 ムリ。正直疲れた。
 2日入場券とか売ってある理由を理解した。
 疲れ切った末に見た名画たち。
 モナリザは「思ったより小さい絵だな」としか感じず、ミロのヴィーナス、ニケ像に至っては「おお……これか…」。
 ぜえぜえ。
 教訓。名画を見る時には体調を万全にしておくこと。

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エッフェル塔から

--フランス、パリ

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 夜更けにベルンに到着し、今日は駅舎で夜明かしか…と思っていると、深夜にパリ行きの列車が残っていた。ありがたい。結局スイスは1日かけて通り過ぎたことになる。でも通り抜けて良かった、と思う。スイスの風景は本当に素晴らしかった(ちょっと住みたいと思った)。ただ結果的に列車代は少し高くついたようだ(ミラノ~ベルン~パリで大体100ユーロ強)。
 パリに着いたのは早朝で、目覚めて驚いたことには、しとしと雨が降り続いている。こんなふうに、だらだらと日がな一日降り続きそうな雨を見るのは日本以来だ。今までの国ではなんだかんだ言ってもダーっと降ってハイ終了、という感じだったから。
 スイスは抜けたのに、雨のせいだろうか──相変わらず寒い。この先はウインドブレーカーが手放せなくなりそうだ。
 パリ市内をぶらぶらと歩き、ともかくもまず目に飛び込んできて思わず向かったエッフェル塔で、はっとした出来事があった。エッフェル塔最上層、地上276mの展望台からはパリ中が見渡せる素晴らしい眺めだ。曇り空の下、まだらに現れたり消えたりする日差しの飛び島を眺めつつ、ふと窓の上を見上げると、各国の国旗がそれぞれの方角の位置に表されているのに気づいた。日本はどっちだ、やっぱ東かな?と探してみると、どちらかというと北寄りの位置に日の丸を見つけることが出来た。そうか、直線で結ぶと北のほうにあることになるのか。そしてその国旗の横にはこう表示されていた。「TOKYO 9739km」。
 ここから日本までは約1万キロの距離があるんだ。ずいぶん遠くへ来た、とは思っていたけど、具体的な数字を示されたのは初めてだった。1万キロ。ここから日本までの間には、1万キロの道のりが横たわっている…
 去年の今頃、よく西の空を眺めては、一番遠くに見える雲のその向こう側に行くのだ、と想像していた。今僕はあの雲よりもずっとずっと向こう側に立って日本の方角を眺めている。

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途中下車

--スイス、トゥーン

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 ミラノからフランスへ…パリまでの切符を買おうとする。95ユーロ。きゅ、95!?Departureには「TGV」の文字が。高いのはこのせいか?イタリアの列車はそれほど高くないかな、と思っていたので衝撃を受けた。しかし他にルートはあるのかな。
 時刻表示板には「ベルン」の文字もある。そういえば、ダハブで出会ったカメシダさんの、「スイスは通り抜けるだけでも行ってみるべきだ」という言葉が思い出される。スイスのベルンまでなら比較的安いし(もちろんベルン~パリ間の値段は知らないが)、スイスの景色もなんだか気になってきた。口笛がなぜ遠くまで聞こえるのかも知りたくなってきた。ベルンに行こう。
 そして列車は山を越えてスイスへと入る。
 これは…なんだか童話のような風景だ。至る所が緑の草原で覆われ、国土全体がゴルフ場っぽい。聳え立つ山々には雲がかかり幻想的ですらある。スイス正解!!
 列車は順調にベルンへと近づき、少し日も傾きはじめたころ、すばらしく美しい湖が姿を現した。その景色に魂を奪われていると列車はトゥーンという駅に停車する。ベルンまではもう1時間弱だ。でもあの湖の写真が撮りたい。このまま通過なんてことができるのか?でももうじき日暮れだ。列車はあるのだろうか?万一移動できなかったら、宿代は凄く高いんじゃないのか?ああっ早くしないと発車してしまう。
 僕はトゥーンで途中下車。湖行きの遊覧船に飛び乗った。
 写真は黄昏時のトゥーン湖。日没後のスイスはとても寒い。というか半袖Tシャツなんか僕だけだった。

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最後の晩餐

--イタリア、ミラノ

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 ミラノで取った宿は中央駅から地下鉄で3駅先にあるユースホステルで、辺りには中国人経営のお店が多い。そういう場所なんだろう。おかげで親近感の湧く、ファー・イーストな顔の人々だらけだ。そんなわけで僕もここでは全く目立つことなどなく、ネットカフェでもID代わりにパスポートを提示してはじめて「ああ、日本人なんだ」と言われるしまつ。
 ミラノ2日目はサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会へ。この教会には美術館が併設されている。しかし展示数はたったの2つ。そのうちのひとつがかの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」だ。
 うわさでは完全予約制、当日行っていきなり入ることは出来ないと聞いていたけど、何の問題もなくチケット購入可能。しかし一度に館内に入る人数は決まっているらしく、完全入れ替え制のようだ。今中にいる人たちが出て行くまで扉が開くことはない。それにしても入場扉前の狭い待機スペースは既に人で溢れていてげんなりしてしまう。人が少なくなるのを待つか、と僕はタバコを吸いに出た。
 しばらくするとすっかり人はいなくなっており、悠々と待っていざ入ろうとするとモギリが僕を呼び止めた。
 「あなたのチケットは入場期限が過ぎてます」
 え。よく見ると入場チケットには時刻の刻印がされている。チケット購入した時間だとばかり思っていたがそれは間違いで、なんと入場可能時刻であるらしい。すなわち、その刻印された時間にしか入場できないのだ。なんだその厳格さは…
 そんな説明受けてないけどなあ、と何とか粘ってみると、次に開いたときに入れてもらえた。助かった。ついでに言えばその次の回は僕以外全員が日本人のツアー団体で、壁画についてのガイドさんの講釈がタダで聞けてラッキーだった。曰く、裏切りのユダだけ顔に光が当たらないように描かれているだとか、キリストの口は開いていただとか…これは、遅れて良かった。
 壁画が2枚しかない美術館。
 だけど逆に、このほうが集中して楽しめて良いかも知れない。
 駅に向かう途中、城塞の中の公園でゆっくりする。
 イタリアもこれで終わりだ。フランスはどんな国だろうか…

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ミラノ、ドゥオモ

--イタリア、ミラノ

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 さて翌日。今度はしっかり計画通りに見て周り、大満足してミラノへ。
 ヴェネツィアは切符を破棄してしまったせいか行く気が失せてしまって、結局取りやめた。思えばイタリアでは、最初に行こうと決めていた街には行かずじまい、一旦諦めた街やよく知らない街にばかり立ち寄っている気がする。
 僕は間違いなく天邪鬼な性格だし、突然目的地を変更するのは気持ちいい。まるでスケッチブックの新しいページを開くような気分だ。
 ミラノのドゥオモは期待に反して広場側が全面修復中で、何の風情もないシートが被せられていたが、反対側の壁面や入り口の扉には素晴らしい彫刻を見ることが出来たし、もちろん内部の素晴らしさはなんら色褪せていなかった。美しいステンドグラスの数々、全部で55枚ものステンドグラスが聖堂内を照らし出している。特に気に入った一枚は、後陣にある巨大なステンドグラスではなく、身廊の左手に並ぶ内の一枚だった。
 上半分には舞い降りる天使達が描かれている。最上部にはラッパを吹き鳴らす天使、白い馬に跨った天使の下には槍を携えた天使達が。そして下半分には様々な不吉な姿をした生き物達が描かれている。悪魔だ。黙示録かな。右下でその様子を見ながらおののいている人間は誰だろう?
 ステンドグラス写真、ボケててスイマセン。

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忘れじのひと

--イタリア、フィレンツェ

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 ゲストハウス・ペッシにて、フィレンツェ観光案内のページを繰っていると、不意にものすごく見慣れた顔が目に飛び込んできた。
 それは旅行に出発する前の日本で、職場で、必ず一日一回は眺めていた女性。
 ボッティチェルリのヴィーナス
 Adobe Illustratorを起動すると現れる彼女だ(CSになってからは顔を見せなくなってしまったが)。ああ、懐かしい(?)。なんかイヤなノスタルジーではあるが。
 この絵はここフィレンツェのウフィツィ美術館にあるようだ。これは行かなきゃなるまい。さくっと見て、アカデミア博物館でミケランジェロを見て、ドゥオモなんかに寄りつつ、夕方の列車でヴェネツィアに行く。そんな計画を立てた。もう切符は買ってある。
 しかしちょっとナメ過ぎていたらしく、簡単に狂ってしまう我が計画。
 ここはやはり超有名観光地で、今はあくまでハイシーズンだということだ。ウフィツィ美術館に入るまでの行列は3時間待ち。ようやく出たころにはアカデミア博物館は既に閉まっており、ステンドグラスが気になっていた駅前のサンタ・マリア・ノヴェッラ教会も目の前で閉館。うーん、これでフィレンツェを去るのか??でも既にチケットは買ってしまった。30分後に発車だ。
 だが。
 結局逡巡のすえ、ヴェネツィア行きのチケットは破棄。もう一泊して明日リベンジだ。フィレンツェ、このまま嫌われっぱなしじゃ終われない。
 宿に戻ってアンジェロに「ごめんもう一泊させて」と頼むとびっくりしていた。申し訳ない。

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